日曜の過ごし方、間違ってる?
ベルリンに来て、きょうでちょうど4週間。長いこと更新をお休みしていましたが、いい加減ブログを再開いたします。FacebookやInstagram( @domiso0621 )で近況をご存知の方もいるかと思いますが、曇りや雨ばかりの秋のベルリンで、元気に毎日を過ごしています。先週携帯電話も手に入れ、ようやく生活基盤が整った、という感じです。記念すべきベルリン第1号は、アーティストなわたし《so》の視点で書きたいと思います。
ベルリンは
時間の流れが遅い?
いま、わたしは語学学校の学生という身分ということもありますが、ベルリンに来てからというもの、時間がとてもゆっくりと流れているように感じます。電車は時刻表がなく(もしかしたらあるのかもしれませんが)、早く来たり遅く来たりするし、語学学校のクラスメイトは3分の1が遅れて登校してくるし、平日の昼間からテラスでビールを飲んでいるおじさんがいるし…。
日曜はほとんどのお店が営業していないことは、ヨーロッパでは常識ですが、実際住みはじめてみると、やはり結構なカルチャーショックを受けました。東京にいるときは、週末に買いものに出かけることは当たり前のことでしたし、いかんせんスーパーもお休みなので、土曜までに日曜の分の食料を確保しておかねばなりません。
新しい日曜の過ごし方
見つけました
とはいえ、忙しく出かける週末が当たり前になっていた東京の暮らしに、かえって疑問を抱くようになりました。寝坊をする、読書をする、音楽を聴く、絵を描く、手紙を書く、料理をする、掃除をする、昼寝をする…。これが、ベルリンに来てからのわたしの日曜の過ごし方です。まるで、自分だけの時間を慈しむような、そんな心地のいい感覚。東京にいたとき、果たしてこんな感覚を味わっていたでしょうか?
わたしの部屋からは、噴水のある広場が見えるのですが、日曜の風景はひときわすてきなものです。おとうさんと散歩するよちよち歩きの子ども、仲良くベンチに座っておしゃべりしている初老の夫婦、自転車を降りて写真を撮る若者、自由に芝生を駆けまわる犬。それぞれが自分の時間を愛しているのが伝わってきて、なんだかうれしくなります。また、こうして広場を眺めることも、わたしの日曜の過ごし方のひとつになっています。
日本がストレスフルな社会であることは、残念ながら認めざるを得ません。リラックスしたり、リセットする方法はひとそれぞれだと思うのですが、週末を家でのんびり過ごすというのは、じつはいちばん身近で手軽な方法なのかもしれません。そうなると、やっぱり家がきれいなほうがよい…そこから、ドイツ人の「きれい好き」につながるのかもしれませんが、その話はまた近々。なんの変哲もない提案ですが、ぜひ次の週末は家で過ごしてみてくださいね!
背伸びしないサステナブルな暮らしの提案
04「週末は家でのんびり過ごす」
背伸び度:★☆☆
予算:なし
サステナブルなあのひと(1)フィリピンから見えた日本
1ヶ月ぶりにしれっと更新です。「サステナブルなあのひと」と題して、domisoが「いいな!」と思ったひとを、今後不定期に紹介していきたいと思います。というのも、いまある社会や環境をよくしたい、変えたいと思ったとき、とくに同世代がどんなことを考えているのか、実践しているのかを知りたかったからです。わたしひとりではカバーできない、さまざまな分野の意見や知識をこのブログで共有していけたらと思います。
サステナブルなあのひと
ひとりめ 仙波梨英子さん
記念すべきひとりめは、仙波梨英子さん。学生時代にフィリピンを訪れてからというもの、フィリピンが大好き! 現在、大学院で日本に暮らすフィリピン人とその子ども世代について研究しています。そんなフィリピンに魅せられた彼女の目は、いつしか日本を見つめていました。さて、仙波さんが見つめるいまの日本社会とは…?
全く知らない国から
大好きな国へ
フィリピンといえば、最近は語学留学先として人気ですが、「バナナ」や「パブ」を連想するひとが多いのでは…。仙波さんも、かつてはそのひとりだったと言います。そのイメージが変わったのは、大学のサークル活動でフィリピンに短期滞在したとき。「女性の司祭さんの家にホームステイをしたんですけど、初対面にも関わらず『あなたはきょうから家族よ』と言って迎えてもらったんです。そんなフィリピンのオープンな雰囲気に、感銘を受けたことを覚えています」。やがて「わたしもフィリピン人みたいになりたい!」という気持ちが芽生えた仙波さん。その後、大学を休学し、約1年間フィリピンに住むことに。
ホームステイ先にて。フィリピンに「家族」ができました。(写真提供:仙波さん)
「フィリピンのひとたちは、誰かと一緒にいることをすごく大事にしていて、わたしが隣りの家に行くときも、心配して『一緒についていくよ』と声をかけてくれる。はじめて行ったおうちでも、誰の隣りにわたしを寝かせるか、真剣に話し合っていましたね(笑)。ひとりでいることがラクなときもあるけれど、誰かと一緒にいることの心強さを、フィリピンのひとたちから感じることができました」(仙波さん)。
農村に滞在しながら、フィリピンのよさを発見する一方で、貧困問題を目の当たりにした仙波さん。「フィリピンはGDP(国内総生産)の約10%を外貨に頼っていて、男女問わず外国に出稼ぎに行っています。日本に行ってみたい、行ったことがあるというフィリピン人にも多く出会いました」。日本に戻ってからも、フィリピンに関わり続けるにはどうしたらいいか。帰国した仙波さんは、国内にも多くのフィリピン人がいることを知ります。そして、フィリピン人の女性とその子どもたちを支援するNGOに参加することになったのです。
帰国後に、フィリピンをもっと知ってもらいたい、と絵を描きはじめた仙波さん。「たとえばパリのように、地名を聞いてその風景をイメージできる。フィリピンもそうなってほしいなと思っています」(仙波さん)
壁だらけだった
日本社会
フィリピンが大好きでNGOに参加したものの、フィリピンにルーツをもつ子どもたちと温度差を感じたと仙波さんは言います。「おかあさんがフィリピン人という子が多いんですけど、そもそもフィリピンに行ったことがない、行ったことがあっても『やっぱり日本がいいよね』と話していたり、別にフィリピンと関わりたくない、そんな空気感がありました。なぜなのかと考えたら、とくにフィリピンの女性は90年代まではエンターテイナーとして日本に来ている方が多かったので、そういったイメージと自分を一緒にされたくなかったり、日本で生まれ育っているのに、見た目や名前が違うことでいやな目にあっている子もいるんです」
NGOでの活動のようす。キャンプは年に1度の大イベント。(写真提供:仙波さん)
イメージや偏見によって、一人ひとりがのびのびと生きられない日本社会に対して、仙波さんは疑問に思いはじめます。「わたし自身、子どもたちのことを『フィリピンのハーフ』として認識していました。でも、そもそもそのように考えてしまう日本社会とは何なんだろうって。クラスにアメリカにルーツがある子もいればペルーもいる。じつは、いまの子どもたちの世代にとって、それぞれ違ったバックグラウンドをもっていることは当たり前になってきている。一人ひとりと友だちになることによって、逆に気づかされました。結局、イメージや偏見をつくってきたのは大人たちなんですね」
「いま、日本は外国にルーツのあるひとが増えています。みんなで一緒によりよい社会をつくっていくには、それぞれのいいところをいかに伸ばし合えるか、にかかっているのではないでしょうか。だからこそ、『多文化共生』が日常になりつつある若い世代に学べることは多いはず。もちろん、世代ごとに違った知識や実体験があります。もっと世代を越えて対話をしていくことが、理想的だと思っています」(仙波さん)
会って話して
見えてくること
社会の中で手を取り合っていくために、とりわけ「対話」を大切にしているという仙波さん。「自分とは違う仕事をしているひと、違う世代のひと、地元のひと…できるだけ、いろいろなひとに会って話すようにしています。単におもしろいというだけでなく、そこに知恵はたくさんつまっています。そのひとが感じていることを聞き出して、自分のもっている何かと化学反応を起こせたらいいですよね」
そんな仙波さんから、最後に「サステナブルな暮らしの提案」をしてもらいました。「きちんと対話をするための提案として『SNSに頼りすぎない』。SNSは短時間で視覚的に伝わるけれど、ある意味では危険だと思っています。このひとこんなことを言っているけど、本当はそうじゃないかもしれない。核心をつくような意見を聞いたり、そのひとらしさを知るには、直接会って話すことがいちばんだと思います。それに、賛成派は少ないと思うけれど、わたしはスマートフォンではなくガラケーを使い続けます!(笑)」
たとえ第一印象がよくなかったとしても、話してみたらびっくりするほど気が合った…わたし自身もそんな経験があります。国や文化、世代が違っても、ちょっとずつ壁を低くしていけたら、この世界はもっとたのしいものになる。「それぞれ違ったバックグラウンドのあるひとたちとどう社会をつくっていくか、本当にたのしみ」という仙波さんのことばを聞いて、少し肩が軽くなった気がしました。
27 August, 2016 / domiso
背伸びしないサステナブルな暮らしの提案
03「SNSに頼りすぎない」
背伸び度:★★☆
せんば・りえこ 1986年長野県生まれ。大学卒業後、5年間の社会人生活を経て、横浜市立大学大学院に入学。現在、修士論文を執筆中。2015年から2016年にかけて1年間、日本のフィリピン人家族と暮らしをともにした。タガログ語もペラペラ!
石けんが海を守る…?
海を汚さないために
はじめたこと
こんにちは。初回と前回とブログを読んでくださったみなさん、ありがとうございます。各方面の方々からすてきなご感想をいただいて、とてもうれしいです。相変わらずマイペースに更新していますが、これからも応援していただけましたら幸いです。さて、ふたつめの提案は、ちょっとまじめなエコロジストなわたし「do」からです。
先日、早めの夏休み(退職してからずっと夏休みのようなものですが…笑)で、沖縄へひとり旅してきました。はじめての沖縄、澄んだガラスのような青い海はこころが洗われるようで、とくに印象的でした。でも、こうした美しい海も人間の手によって汚されているのだと思うと、なんだか海を見る視点が変わってきます。
話は変わりますが、1年ほど前から「石けん」を使っています。手・食器・服を洗うとき…100%使えているわけではありませんが、洗面所や流し台に石けんを常備するようになりました。肌の弱い方が石けんを使うという話を聞くことがありますが、わたしが石けんを使いはじめた理由のひとつは「海を汚したくない」という気持ちでした。
川へ流れた石けんは
どこへ行く?
海洋汚染の原因はさまざまですが、そのなかのひとつに「合成洗剤」があります。正しくは、合成洗剤に配合された「界面活性剤(かいめんかっせいざい)」。これは汚れを落とすための成分のことを言い、何を隠そう、石けんも界面活性剤のひとつです。問題は、石けんと合成洗剤の製造方法の違いにあります。下記に、その違いを簡単に挙げてみます。
石けん
歴史:紀元前3000年〜(シュメール文明)
原料:動植物の油脂、アルカリ剤(木灰、灰汁、苛性ソーダなど)
製造方法:油脂にアルカリ剤を混ぜ、加熱する。
↓
石けんは、家でもつくることができ、河川の微生物によって100%分解される。
歴史:第一次世界大戦〜(ドイツ)
原料:石油や動植物の油脂、添加物(蛍光剤、漂白剤、香料など)
製造方法:高圧高温のもと、化学合成する。
↓
合成洗剤は、家でつくることはできず、自然界で分解されないため、一部は海まで流れる。
まだ100年ほどの歴史しかない合成洗剤は、当初から問題視されてきました。毒性があり、河川を魚が住めないほどに汚染したほか、皮膚が荒れる、誤飲して呼吸困難になるなど、人体への影響も…。それもそのはず、「ポリオキシエチレン=アルキルエーテル」をはじめとした合成界面活性剤は、経済産業省によるPRTR制度でダイオキシンやアスベストと同レベルの有害化学物質に指定されています。
ハンドソープで
石けんライフ入門
いままでは、当然のように使っていた合成洗剤。でも、こういった事実を知ってしまった以上、できるだけ使わないようにしたい、と思うようになりました。完璧に使いこなせているわけではありませんが、自分なりに「石けんライフ入門」をステップ別にまとめてみました。石けんの扱い方のコツも少しだけご紹介しますので、ぜひ参考にしていただけたら!
doの石けんライフ入門
〉step1「ハンドソープを使う」
単価がそれほど高くないので、初心者におすすめ。ハーブの成分などが添加され、さっぱりとした自然な香りのものが多い。ただし、世の中には「ハンドソープ」でも、中身が合成洗剤の場合があるので、成分表示(下記参照)を要確認。
〉step2「台所用石けんを使う」
実際に口につけるものを洗うので、とくに気を遣いたい部分。石けんは性質上、酢に弱いが、あらかじめ古布などで汚れを拭き取ることで洗いやすくなる。また「100%天然由来」という表示があっても、合成洗剤の可能性がある。
〉step3「洗濯用石けんを使う」
洗濯ものが黄ばみやすい、洗濯槽にカビが生えやすいなどのデメリットがあるが、水で予洗いしたり、酸素系漂白剤などを使うことで解消される。天然の香りがついたものや、柔軟剤の代わりに衣類用のリンスも販売されている。
石けんの主成分
固形石けん・粉石けん:脂肪酸ナトリウム(ソーダ石けん)
おもな石けんメーカー
スーパーや薬局のほか、ネットでも手に入ります。
わたし自身、石けんを使いはじめて「地球に余計な負担をかけない」ということに、気持ちよさを感じています。それから、柔軟剤の強い香りが苦手だったので、石けんのさっぱりとした香りが心地いいです。とはいえ、油でギトギトになった食器には、ついつい合成洗剤を使ってしまいます…。いろいろと工夫をしながら、すべてを石けんに切り替えられたらと思っています。
今回紹介した「合成界面活性剤」ですが、じつはシャンプーや歯磨き粉、化粧品にも使われています。これについては話すと長くなるので、また別の機会に…。次回の更新は、本ブログ初のインタビュー記事を予定しています。テーマは「サステナブルなあのひと」。あなたの知っているあのひとが登場するかも? どうぞ、今後もおたのしみに!
27 July, 2016 / do
背伸びしないサステナブルな暮らしの提案
02「手・食器・服を石けんで洗う」
背伸び度:★★☆
予算 :ハンドソープ・台所用石けん350円前後、洗濯用液体石けん800円前後
参考
・『石けんと合成洗剤50のQ&A』長谷川治/著 合同出版/刊
・「いいね13 自分で洗える服を着る」クレヨンハウス/刊
・生活と科学社「石鹸百貨」ホームページ